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外国特許出願および米国特許出願に際して注意すべきこと
1.外国特許出願と国際出願(PCT)
外国において特許を取得するためには、特許を取得したい国に特許出願
をする必要がありますが、それには、直接その国に特許出願する方法と、国際出願(PCT)をする方法があります。いずれの場合も日本の特許出願を基礎に(パリ条約の優先権を主張して)日本の出願日から12月以内に出願するのが一般
的です。12月を過ぎてしまっても、日本の特許出願がまだ公開されていなければ外国出願も国際出願も可能ですが、他者の出願と競合した場合に不利になります。ただし、12月を過ぎた場合には、その特許の対象を製品化したり公に実施したりしているときは、米国を除いて、有効な特許出願はできません。
国際出願(PCT)は、一般
に、複数の国に特許を取得したいときに、一旦ジュネーブの国際事務局(WIPO)に、将来特許を取得したい国を指定して国際出願をし(日本特許庁が受理官庁として出願を受理します)、優先日(日本特許出願日)から30月以内にその指定した国に翻訳を提出すれば、それらの国の特許出願として扱われる(国内段階に移行する)ものです。したがって、多数の国に出願する可能性があり、外国出願の可否について最終的決定が間に合わない場合には、日本の出願から1年以内に、特許を取りたい国を指定して優先権を主張し、国際出願をしておくことにより、優先権主張による外国出願の可能性を留保しながら、最終的に外国出願しなかった場合には翻訳料の節約など、経済的な負担を軽減することができます。しかし、出願国数が少ない場合には、国際出願の費用のために割高となりますので、直接国ごとに出願する方が経済的です。
国ごとに出願するには、日本の出願から1年以内に優先権を主張し、その国の言語に特許出願を翻訳して国ごとにその国の特許庁に出願を提出します。翻訳にはかなり時間がかかりますので、時間的余裕をもって出願の準備をしなければなりません。
例外的に、米国に出願する場合には、一旦日本語で出願をし、あとから(2ヶ月以内に)翻訳を提出する方法もあります。
2.米国への特許出願
米国の特許制度は他の国の特許制度と大きく異なっています。米国の制度の特殊性を知らないと、せっかく特許を取得しても権利行使できないこともありますので、十分な注意が必要です。また、他の国では特許が取れなくても、米国では特許が取れる場合があります。
その主たる根拠となるのが、先発明主義、情報開示義務、ベストモード開示義務、特許表示の義務などですが、複雑なルールがありますので、出願の前に、専門家によく相談することをお勧めします。
例えば、日本での出願が公開されたり、出願の対象の発明が製品化されたり公に実施されたりしても、米国の場合は、それから1年以内であれば、有効に出願することができます。
また、他人の出願と競合した場合は、出願日より古い発明日を立証できれば、出願日が遅くても優位
に立つことができます。そのためには、発明を記載した文書(ノートでもよい)を他人に見せ、説明し、日付を付し、署名を貰っておくことが必要になります。公証人の認証は必要ありません。
また、せっかく特許を取得し、米国で製品を販売しても、製品に特許番号を付していないと、他人に模倣されたとき、損害賠償を請求できません。
なお、米国には審査請求制度がありませんので、出願はすべて審査されます。したがって、日本で審査請求をする前に、あるいは審査請求をしても審査が始まる前に、米国特許出願の審査が進んで米国特許が先に取得できることも多くあります。米国特許を取得したという事実は、日本での審査やビジネスにプラスになると考えられますし、米国での審査の結果
から、出願した発明に特許性がないことが判明すれば、日本の出願が審査未請求であれば特許取得を諦め、日本での審査請求料を節約することもできます。
3.外国特許出願に際して何を準備すればよいか
外国特許出願の準備のためには、日本出願があれば、その出願の明細書と、図面
がある場合には図面が必要になりますが、日本出願1件だけを出願するのか、複数の出願を併せて出願するかを検討する必要があります。外国出願には多額の費用がかかりますので、複数の出願を纏めて出願することが多いですが、その場合には、後の審査の手続きにおいて分割や一部放棄を強いられることも多いことを念頭においておかなければなりません。複数の発明を一つの出願として出願することのできる条件は、米国の場合、日本よりも制限が厳しいので、日本で1件の出願であっても分割や一部放棄をしなければならない場合があります。また、複数の出願を纏める場合には発明者や出願人の一致など気をつけなければならないことも多いので注意が必要です。
取り敢えず出願したい日本出願を用意して、専門家に相談するのがよいと思います。
4.誰に依頼すればよいか
米国特許の出願は、出願人本人が日本から直接米国特許商標局に提出して出願することもできますが、特許法等、米国の法律を知らないと適切な手続きができませんので、米国の代理人を通
して出願する必要があります。代理人としては、米国のPatent Agentの資格を有する者であれば誰でもよいのですが、実際は、訴訟に詳しく商標も併せて相談できる、弁護士でpatent
agentの資格を有する特許弁護士(patent
attorney)に依頼するのが一般
的です。
米国の特許弁護士に出願の代理を依頼するには、直接依頼することも可能ですが、米国の特許弁護士とのコミュニケーションに慣れた、米国の手続きに明るい日本の弁理士に依頼すれば、1万数千人いる特許弁護士の中から、得意な技術分野や他社との競合関係などを考慮して適当な弁護士に依頼してくれます。
©YANAGIDA
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