3つ以上の請求項に選択的に従属させる場合は、「…請求項1、2または3記載のX。」「…請求項1から3(の)いずれか(1項)(に)記載のX。」「…請求項1ないし3のいずれか(1項)(に)記載のX。」のように記載する。
独立形式請求項と従属形式請求項の配列は、先に独立形式請求項を記載し、次いでその後にその独立形式請求項に従属する従属形式請求項を記載する。複数の請求項に従属する従属形式請求項は、従属の対象となる請求項のいずれよりも後に記載しなければならない。
明細書
明細書は全体として次のような形式にする。
発明の名称、発明の詳細および図面
の簡単な説明は、特許法で定められた記載であるため、必ず記載しなければならない。発明の詳細な説明には、下記のような見出しを設ける。この見出しは、発明を順序よく説明するために推奨される標記と順序であり、なるべくこの順序に従うことにする。しかし、発明の詳細な説明において何を説明している部分かということが読者に端的に分かるようにするのが目的であるから、必ずしも下記の表現でなくてもよく、他に適当な表現があれば適宜好ましい表現を用いてもよい。例えば、実施の形態の記載が長い明細書においては、どこに何が書いてあるかすぐ分かるように、その中に適宜小見出しをつけるとよい。なお、発明が解決しようとする課題、課題を解決するための手段、発明の効果
を記載する場合には、先に必ず発明の開示の見出しを設けなければならない。ただし、発明の開示の見出しは上記3つの見出しに対する大見出しであるため、ここに直接内容を記載することはできない。
_
発明の名称
_
発明の詳細な説明
(発明分野)
(背景技術)
(発明が解決しようとする課題)
(課題を解決するための手段)
(発明の効果
)
(発明を実施するための最良の形態)
(実施例)
_
図面の簡単な説明
符号の説明
明細書の各記載事項について
1.発明の名称
発明の名称は、発明の内容を名詞として端的に表現して、「_方法」、「_装置」、「システム」、「記録媒体」、「プログラム」等のように表現する。この名称は発明の技術分野を漠然と示すものではなく、発明の内容をある程度具体的に表現するものの方が好ましい。例えば、「検出装置」ではなく「シート先端検出装置」のようにする。
また、発明の名称は、特許請求の範囲の末尾に来る「_装置」等の表現と一致させるのが望ましい。方法と物の2つのカテゴリーを含む明細書の場合は、「_方法および装置」、「化合物およびその製造方法」のようにする。しかし、必ずしも全てのカテゴリーを網羅する必要はない。特にカテゴリーが多く、発明の名称が長くなる場合は、名称は適当に簡略化した方がよい。
2.発明の詳細な説明
(2.1)技術分野
この項には、発明の属する技術的分野を「本発明は……に関するものである。」のような表現を用いて記載する。特に、発明がある技術分野の中で比較的細かい分野に属するものである場合は「本発明は……に関し、特に……に関するものである。」のように、まず大きな技術分野を記載し、さらにその中で何に関するものであるかをより細かく記載するのが望ましい。
この項の目的は、発明の名称のみでは広すぎて発明の対象が今ひとつ明確ではないから、発明が一体どういうものに関するものであるかを、明細書の読者に簡潔明瞭に一早く知らせることにある。したがって、この項において特に注意すべきことは、ここでは発明の目的や効果
には触れず、発明の対象としている具体的技術分野を明確にするということである。
その技術分野が一般
に馴染みの薄いものであると考えられる場合には、例えば、特に全く新規な技術に関するような場合には、一旦「本発明は_に関するものである」とした後で、さらに「ここで_とは……」というように、発明の名称に関する言葉について多少説明を加える方がよい。
(2.2)背景技術
この項には発明の背景となった出願前公知の技術を説明する。特に発明が解決しようとする課題を有する従来技術について説明するが、その従来技術の前提あるいは背景となる技術についても、発明の理解を助けるものがあれば記載するのがよい。
すなわち、発明が生まれる背景には、単純に一つの問題があっただけではなく複雑な従来技術の問題が関連している場合も多いので、そのような場合には、特にそれらの問題点がよくわかるように段階的に従来技術を説明する必要がある。
また、発明に関連する文献公知発明があるときには、文献公知発明が記載された刊行物の名称その他のその文献公知発明に関する情報の所在を記載しなければならない。具体的には、特開平○−○○○○○○号公報、特開2000−○○○○○○号公報、米国特許第○○○○○○号明細書あるいは○○○○著「△△△△技術」○○出版 第○判第○〜○頁等のように記載する。ただし、これらの文献名のみではなく、その文献に記載されている内容を説明し、少なくとも発明が解決しようとする課題を読者に理解させるのに必要なことは、文章で説明する必要がある。
(2.3)発明が解決しようとする課題
この項には、その発明がなされるきっかけとなった問題点、すなわち従来技術において解決されなければならなかった問題点あるいは解決することが望まれていた点等と、発明の目的について説明する。
特に発明の内容が高度でない場合、あるいは従来技術に比較して進歩性が大きくないと思われる場合には、特許性をアピールするために、従来技術の有する問題点について多少詳細に説明して、従来、この技術においていかに発明の対象が技術的、実用的あるいは工業的に重要なものであったか、また解決することが困難であったか、またその解決に対するニーズがいかに大きくありながら今まで解決されていなかったかというような点について細かく記載する方が望ましい。これによって、その技術の重要性がアピールされ、改良した部分が小さいものであっても、その技術の大きさが評価されると考えられるからである。
この項で特に重要なことは、ここで挙げる発明の課題は必ず本発明において解決される課題でなければならないということである。その課題が本発明によって解決されるものでなければ、ここでその課題を挙げる意味がないからである。
発明の課題とそれを解決する手段は、常に一貫した筋道に沿って説明されていなければならず、この一貫性が欠けていては明細書として全く意味がないばかりか発明未完成あるいは実施不可能として出願が拒絶されることになる。
この項には、さらに、「本発明は……を提供することを目的とするものである。」あるいは「本発明の目的は……を提供することにある。」のような表現を用いて、発明の目的を記載する。ここで発明の目的とされるのは課題を解決することではなく、課題を解決するものを提供することである。その提供されるものは、特許請求の範囲の末尾となる装置あるいは方法であり、その前に修飾語として発明の目的とする効果
を要約したような記載を付して、例えば「本発明は上記のような従来技術の問題点に鑑みて、……を……する(ようにした)〜装置を提供することを目的とするものである。」のような形で記載する。
ここで目的とする内容は、従来技術の項において説明した従来技術の問題あるいは要望から導き出される発明の課題であって、それまでに述べた従来技術の問題点等から離れた内容を書いてはならない。例えば、発明の目的として一般
的な表現を用いて、優れた装置とか便利な装置というような表現を用いたり、それまでに述べた問題点とは関係のない課題等を目的とするのではなく、それまでに述べた従来技術の問題点を受けて具体的に「を……する〜装置(方法)を提供することを目的とする。」というように記載する。
この目的は発明の権利解釈の際に参考とされることが多いので、それまでの従来技術の問題点や要望等と関連して十分に発明を理解した上で記載しなければならない。すなわち、まず最も広い特許請求の範囲に記載された発明によって達成される効果
が発明の主たる目的(課題)となるのであって、従属形式請求項に記載された発明や請求範囲には記載されていない実施の形態に特有な効果
を目的としてはならない。
なお、この目的の項には提供する発明の構成を記載する必要はないので、構成上の特徴には触れず、目的のみを記載しなければならない。
(2.4)課題を解決するための手段
この項には、発明の構成を記載する。発明の構成とは、発明の課題を解決するために必要不可欠な構成上の要件であり、発明そのものの本質であるので、特許請求の範囲の各請求項に記載された発明に正確に対応した内容でなければならない。
この項の目的は、請求項に記載された事項のサポートを明細書中に確保するとともに、難解な表現の構成要件の意味を明確にし、特に請求項に用いた表現や用語が狭く解釈されないように広く定義しておくことにあると考えるのがよい。したがって、ここには請求項と同じ表現や用語をそのまま用いる一方、その意味合いを、特に狭く解釈されないように説明しておく。そして、実施の形態(狭い)と請求の範囲(広い)とのギャップを埋めて、実施形態のどの構成が請求範囲のどの構成要件に該当するかを明確にするような説明をしておく。
すなわち、特許請求の範囲は権利範囲を表わす法律文書であるという前提から、分かりきった前提を冗長に書いたり、きわめて難解な表現となることが多く、その意味するところ(主旨)が直感的に分かりにくいことが多いので、その主旨を分かりやすく咀嚼して説明するとともに、発明の意味を説明して、特許請求の範囲の用語等が狭く解釈されないように手当てしておくのがこの項の目的であると考えるのがよい。
しかし、この項の記載は権利解釈の際、最重要となるものであるから、不用意に余計な記載をすると後に大きな問題となるので、発明の主旨から離れた余計なことは一切書かないように気をつけなければならない。
具体的には、請求項では権利範囲を意識するため技術的には通常使われないあるいは馴染みの薄い上位
概念の言葉が用いられることが多いので、その上位概念の言葉の意味を技術的に正確にしておくよう、この項においてその上位
概念の言葉についての説明あるいは定義をする。例えば「ここでAとは、…を意味するものであって、必ずしも
aに限られるものではなく、例えばb 、c 等としてもよい。」とか、「ここでAとは、要するに…であればいかなるものでもよい。具体的には、例えばa
、b 、c 等を使用することができる。」のような、その意味の要点を明確にするとともに具体的な例を示すような表現を用いるとよい。
また、この項においては、上記のような上位概念の言葉以外にも、請求項の中で使われている各種の用語の定義(説明)をすることが望ましい。特に請求項に使用される用語は、通
常理解される用語の意味よりも場合によっては広くあるいは狭く使用されることも多いので、その用語の明確な定義を後に記載する各実施の形態の内容を意識しながら説明するとよい。
(2.5)発明の効果
ここには、発明の構成(課題を解決するための手段)によって達成される効果
を記載する。この発明の効果は、ともすると発明の目的の繰返しになるおそれがあるが、目的の項と効果
の項の違いは、目的の項はその主として狙いとするところを示すものであるのに対し、効果
の項は発明の構成との関連において、具体的に得られる各種の効果
をわかりやすく説明するものであることにある。
すなわち、発明の効果の項においては、なぜその効果が得られるかということを発明の構成との関連においてわかりやすく説明するのが望ましい。例えば「上記のように構成された本発明の_装置あるいは方法によれば、……ので、……ことができる。」のように理由を付して効果
を書くのが望ましい。
また、発明の効果は、特許を取得するために必要な発明の進歩性を主張し、印象づける上できわめて重要なものであるから、効果
は本来目的としていることにとどまらず各種の観点から利点と言えることをできるだけ多く挙げた方がよい。その利点としては、その発明の対象物の本来の機能上の効果
が最も望ましいが、その他にもコスト低減、構造簡略化等一般に工業上望ましいとされている派生的効果
等があれば、なるべく多く記載する方がよい。ただし、次のような点に注意する必要がある。
この効果の項の記載は、発明の本質に大きく関わるものであるから、ここで記載する効果
は請求項に記載された発明の構成によって達成される効果のみに限られなければならないのであって、請求項に記載された構成によっては必ずしも達成されない効果
を書いてはならない。そのような効果を書くと、その効果を達成するための構成要件が請求項に欠けているとして、その構成を追加する限定を要求される場合がある。なお、従属形式請求項に記載された発明や好ましい実施の形態によってのみ達成される効果
は、決して、「本発明の……によれば」のような表現は用いず、例えば「なお、〜したときは_の効果
がある。」のように、なお書きで記載する。そうしないと、その効果
を達成するための好ましい構成が、主たる発明の必須要件であると認定される場合があるからである。
なお、発明の効果
の記載は、現行法の下においては必ずしも必要ではなく、これを書くことによって、発明の目的が制限的に解釈され、すなわち効果
を達成することが目的であるかのように解釈され、そのため権利解釈において権利を狭く解釈される原因となる場合もあるので、特許を取るためには効果
は書くほどよいが、権利を広くするためには効果は書かないほどよいということを認識し、効果
の記載にあたっては、その両者のバランスを良く考えることが肝要である。
(2.6)発明を実施するための最良の形態
この項の目的は、読者(当業者)に発明の実施を容易にさせるための説明をすることと、もう一つの読者(審査官)に発明の具体的内容を説明すること(実施可能要件を満足すること)にある。ここには、発明を具体的に実施する場合の構成、作用および必要に応じて製造方法、使用方法等を、詳しく説明する。発明を実施するための最良の形態には、発明者が最良と考える発明の実施の形態を記載するが、発明を実施するための最良の形態とは、発明の内容をサポートするために具体的に示される発明の実施態様のことであるから、一つの実施の形態によって請求項の記載を十分にサポートすることができない場合には、複数の実施の形態を説明することが必要である。
実施の形態には、具体的構造の寸法や重さ等の数値の開示は必要でなく、(数値限定に特徴のある発明の場合は別
)発明の構造を図面等によって具体的に示し、発明の思想が十分に理解できるようにするものであればよい。
書き方の順序は、まず構成を説明して次にその作用を説明するようにしてもよいし、構成と作用とを織り混ぜながら説明してもよいが。これら2つの形式のどちらを採用するかは、ケースバイケースで説明しやすい方を選択して決めるのがよい。一般
に、機械的構造に関する発明については先に構成を説明し、その後作用を説明し、電気、電子の分野の発明については、構成と作用を一緒に説明することが多い。
この実施の形態の説明においては、図面に示された各部材等の記号を用いながら説明するが、例えば、「1は〜、2は〜であり……」のような、単に数字で示された部材を羅列して説明する記載は、構成の説明にはならないので好ましくなく、「〜1の上に〜2が固設されており……」のように図面
中の符号を付した部材の名称の次に符号を付して構成を具体的に説明していくのが望ましい。
図面
は、あくまでも発明の理解を助けるためのものであり、発明の内容は文章で説明するのが原則であることを忘れてはならない。
ただし、電気回路についての実施形態の説明の場合にあっては、回路構成を図面
を見なくてもわかるほど詳しく丁寧に説明すると明細書が冗長になるので、図面
を参照しながら内容が理解できる程度に説明するのが望ましい。ただし、この場合、電気回路は図面
を見ればその構成が一目暸然であるからといって、構成の説明を全くしないでその作用だけを説明するのは望ましくない。明細書は、あくまでも発明の構成を説明するものでなければならないから、図面
をもって構成の説明に代え、その作用だけを明細書本文で説明しようとするのは許されない。すなわち、電気回路の説明にあっては、作用とともに構成を少しずつ説明しながら進めるのがよい。例えば、「メータAの入力端子Bに一端を接続された可変抵抗Cによって、前記Aの指針の振れ角が調節可能とされており」のように、回路の構成を説明しながらその作用を説明していくと、比較的簡潔に十分な内容が説明できる。
なお、発明を実施するための最良の形態の項に複数の実施の形態を記載した場合は各実施の形態ごとにそれ特有の効果
がある場合が多いので、その実施の形態特有の効果をその作用の説明の次に付記するのが望ましい。
もう一つ、発明を実施するための最良の形態の記載に関して留意すべきことは、明細書は後願を排除する効果
を有するものであるということである。すなわち、それには、出願の公開後に出願された他人の後願に対しては記載から容易に発明できるものを排除する、公知文献としての機能があり、出願の公開前に出願された他人の後願に対しては同一発明を排除する先願としての機能があって、後者の機能を果
たすためには、後願となり得る発明と同一レベルの記載が必要であるということである。例えば、発明の概念は記載されていても、実施形態レベルの記載が不十分であれば、実施形態レベルの後願が成立してしまうことがあるので、容易に考えつくことは具体的に記載しておいた方がよいということである。具体的には、言葉だけでもよいから、「…としてもよい」「…は…とすることができる」等、具体的な例について広く触れておくのがよい。
(2.7)実施例
この項には、発明を実施した事実を記載する。すなわち、例えば具体的な大きさ、速度、重さ、量
、割合、時間等の数値をもって実際に実施もしくは実験した結果を記載する。したがって、文章の時制としては過去形の表現になる。
化学関係の発明の場合には、一般的に実際に行なった実験のデータや製法を記載しなければならない。その実験や製法に使用した材料と、その方法、ならびにその結果
を定量的に説明する。
特に、薬剤関係の発明の場合は、製法と投与方法だけでは記載不備になるので、必ず、出願時から、薬効を臨床データをもって、十分に記載しておかなければならない。
また、必要に応じて発明の効果を示すための比較例を実施例と合せて記載することが望ましい。この場合、提供されたデータが、実施例は特許請求の範囲に記載した発明の範囲に入り、比較例は入らないものとなっているかどうかをよく確認する必要がある。
(2.8)産業上の利用可能性
この項は、特許を得ようとする発明が産業上利用することができることが明らかでない場合に、特許を受けようとする発明の産業上の利用方法、生産方法または使用方法を記載する。例えば、遺伝子、遺伝子断片、組変えベクター等のバイオ関連の特定の発明においては有用性が明らかでない場合が多く、この場合には産業上の利用可能性を具体的に記載する必要がある。ただし、多くの発明の場合には発明の利用可能性は自明であるため、この欄の記載は必要ない。
3.図面
の簡単な説明
この項には、使用する図面の簡単な説明と、その図面中に示された重要な部材等の符号を記載する。図面
の説明は【図1】、【図2】等の次に、「…を示す平面図」「…を示す一部断面
図」「…を示す斜視図」のように、その各図面が何を示すどういう種類の図であるかを記載することとする。
ここで使用される図の種類の例としては、例えば平面図、正面図、側面
図、斜視図、断面図、垂直断面図、水平断面図、一部断面図、拡大図、一部拡大断面
図、展開図、一部切開正面図、分解図、回路図、グラフ、ダイヤグラム、フローチャート等がある。
この図面の説明をする表現としては、その図面が本発明の構成とどのような関係があるかを明確にするのが望ましく、例えば、本発明の一実施の形態による_装置の全体を示す斜視図、その装置の_部を詳細に示す拡大図、本発明の他の実施の形態による_装置の_部を示す水平断面
図」のように各図面で示されるものが本発明とどのようなかかわりを持つかを明確にする表現を用いるのが望ましい。
符号の説明の欄では、「1 基板、2 支柱、3 揺動レバー、…」のように、番号の次に空白をおいてその番号の示す部材名を示すようにする。実施の形態が複数あり、それらの実施の形態に跨って対応する部材に異なった符号が記された場合には、例えば「
1、11、21…カバー」のように複数の番号を並べ、まとめて示すようにしてもよい。
この符号の欄には、請求項に記載された発明の構成要件にかかわる比較的重要な要素については漏れなく記載することが必要であり、発明の要件とは直接関係のない細部の説明に用いられる符号については記載しなくてもよい。
なお、図面には従来技術に関する図面を挙げることはなるべく避けるのがよく、従来技術は図面
を用いないで説明し、図面は本発明の構成を示すものだけとするのが好ましい。ただし、従来技術の説明に図面
を使っての説明が必要な場合には、図面を用いて従来技術の説明をするのもよい。その場合、発明の内容を最もよく表している図をなるべく図1とし、従来技術を示す図は後の方の図番を付すようにする。
図面
について
図面
は、発明の説明の補助として、読者の発明の理解を容易にするために使用するものであるが、図面
はあくまでも補助であって、発明の説明の代用とすることはできない。発明は文章をもって明確に記載しなければならない。例えば、図面
に四角が描かれていたからといって、後から四角の例に限定する補正は許されない。四角は多角形の一例、あるいは単なる図形の一例という位
置付けでしかなく、三角ではなく四角であるという思想が積極的に開示されているとは認められないからである。したがって、発明の思想に関係のあること、あるいは実施の形態として意味のあることについては、図面
だけで示さず、必ず文章をもって積極的に記載することが必要である。
読者による発明の理解を助けるため、なるべく図面
を用いることが推奨される。ただし従来技術については、図面がないと説明できない場合を除いて、なるべく図面
を用いないで説明する方がよい。明細書および図面は、そもそも特許を求める発明について開示するためのものであって、従来技術を説明するために頁を割くべきものではないからである。
動く動作を持った機械的構造に関する発明の場合には、動きが分かるように、動きの各段階を示す複数の図面
を使用するのが望ましい。
複数の異なる実施の形態を説明するときは、それぞれについて図面
を用意すべきであって、一つの図面に異なる形態を重ねて示すのは、好ましくない。ただし、全体に比べてごく一部に変形を加える場合などは、変形例を破線などで示して紙面
を節約するようにしてもよい。
化学分野の発明で、特に物質や組成物に関する発明の場合には不要なことが多いが、装置を使用するものの場合には化学分野でも必要になる。
符号について
図面
には部材を示すために参照符号を用いる。この符号は、同じ部材には同じ符号を用いる。また、同じ符号を2つ以上の異なる部材に使用してはならない。符号としては、数字の他にアルファベットも使用することができる。数字とアルファベットの組合せ(2a,3aやR1,A1など)も使用可能であるが、必要以上に組合せを繁用するのは感心しない。図面
中の文字が小さくなったり、読むときに探しにくくなるからである。
実施の形態が異なる場合には、対応する部材でも、符号には異なるものを使用する。特に類似する実施の形態の場合には、対応する部材には対応する(同じではなく、例えば12,22,32のように、似た)符合を用いると、対応関係が理解しやすい。実施例が異なるごとに100の桁を変えて、下2桁には対応する部材に同じ符号を用いることもよく見られるが、部材の数が大して多くないのに、符号の桁ばかりが多くなるのは避けた方がよい。図面
が見づらくなるからである。
なお、米国特許のプラクティスでは、クレームに記載されたものは、全て図面
に記載されていなければならないというルールがある。したがって米国に出願される可能性の高い出願においては、日本出願の時からそのルールにしたがった図面
を作成しておくことが好ましい。すなわち、クレームされた変形例は全て図面
に示しておく必要がある。本文中の言葉だけの内容は図面に示されていなくてもよいが、後からその変形例をクレームアップすることはできない。(ただし、new
matterでなく補正で追加できるものであれば問題はない)
要約書について
要約書は、調査等の便のため、発明の内容を端的に説明したものを明細書とは別
に供することを目的とするもので、審査の対象や、権利範囲の解釈の資料としては利用されないこととされている。
したがって、特許請求の範囲の記載に使用されるような、権利範囲の解釈を意識した独特の表現は使用せず、平易な技術的表現を用いることが推奨される。例えば、「前記」「該」「…手段」のような特許特有な用語の使用は極力避け、図中の符号を付した実施の形態の部材そのものを表す用語を用いるのがよい。
悪い例:「該製品は前記搬送手段により搬送され…」
→良い例:「ライター5はベルトコンベヤ8により搬送され…」
要約書は「課題」と「解決手段」に分けて400字以内(数式や化学式も含めて約11行以内)で記載する。
図面がある場合は、最適な1つの図を選択し、その図を参照しながら発明の説明をする。
課題の欄には、明細書中の「本発明は…」、「を提供すること」のような不要な字数を費やす表現を用いず、直接、「…において…する。」のような表現を使う。
例:磁気テープの再生装置においてSN比を向上させる。
解決手段の欄には、選択された図を参照しながらその図に示された実施の形態の要点(発明の要旨を端的に示す部分のみでよい)を符号を使いながら説明する。字数に余裕があれば作用効果
にも触れてもよいが、異なる実施の形態や変形例について触れる必要はない。
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